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6.生活のなかのエピソード

一つの例として、現代人の生活の中に、ホテルの占める意味は、ますます多様化し大きくなって来た。今ではホテルは、単なる宿泊とそれに付随する設備や、サービスの提供にとどまらない。結婚式、記念パーティーを始め、いろいろなイベントや催し物、それに旅行や各種のレジャー。これら現代人の非日常的な時間を総合的にプロモートする総合ビジネスである。この非日常性というものは、昔から言われる「晴(ハレ)と卦(ケ)」の「晴(ハレ)」の時間で、仕事や労働の時間、日常の生活時間に対して、文字通り晴れやかな過し方≠フ時間であり、言い換えれば生活の中にエピソードを求める時間である。ずっと古い時代や、あまり近代化の進んでいない国では、この「晴(ハレ)」の時間、生活のエピソードの時間は「お祭」であって、それは一年のうちで、極く限られた季節、また習慣として決められた時間であったが、近代化が進むにつれ、殊に最近の日本では、年中何処でもいろいろなイベントや催し物が開かれ、人間の行動範囲も益々拡大し、旅行やショッピング、各種の娯楽、スポーツなど非日常性と日常性の区別がますますつきにくくなって来ているのである。社会の情報化が進み、第三次産業のウエイトが高くなると、これらの傾向はますます加速すると予想されるが、こうなると、人間生活の本来の「晴」の時間の意味が失われることになるので、これは大いに問題である。

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