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7.映像は記憶の表紙

晴の時間の意味は、人間にとって想像以上に大きい。晴の時間がもたらすもの、それは人生のエピソードであり、遥か遠い過去となっても、一コマ一コマの思い出となって積み重なり、人それぞれの、人生の意味をかたちづくる。人間が本当に求めているものは、こうした自分自信の記念すべき時間と、経験の記憶なのである。ところで、いくら現実の感動が大きく、体験が強烈であっても、それが永く記憶となって心に残るためには、一つの条件がある。人間の記憶というものが本来そうなのであるが、記憶は決して純粋に抽象的なものとしては存在しない。どのような記憶でも必ずビジュアルな「姿」が介在する。「あの時…」といった記憶を思い出す時はおぼろげであっても、その時の風物や人の顔といったものが、映像として脳裏に浮かぶはずである。このことは、強い記憶である程そうなのであって、鮮烈な思い出と言うものは、色彩を伴った明確な映像なのである。そして、その映像そのものが、必ずしも、その記憶の内容の中心で無い場合でも、それは、ちょうど本の「表紙」の様なもので、その映像をきっかけとして、いろいろな記憶の内容が甦って来るのである。

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