サービス・施設産業における姿のCI戦略≠ヘ今日の様に、CIが、はっきり意識される以前から、高い関心が払われて来ている。いわば本質的な部分である。一般的な商品の製造、或いは、販売のビジネスに於ては、商品そのものが物≠ナあり、CIとして、その商品の性能や質をイメージ化して、それをシンボルに統合するものであるから、その商品とシンボルそのものの質との間には一種の断絶があるわけであって、質そのものは、勿論大切ではあるが、マークさえ良ければ物が良く売れる、といったものではない。しかし、サービス施設産業に於ては、この辺のところは、かなり本質的な違いがある。企業側が客に対して、能動的に行うソフトとしての機能的サービスと、更に、視覚的な美しい≠ニいった姿≠ニしてのサービス提供とがあるが、後者のためのハードウェアである建物や施設など視覚的なものが、シンボル化することが充分あり得るのである。このことは、一見何か非常に得をしそうな様に思えるが、そうばかりは言っていられない問題点を含んでいる。この業種では、マークやシンボルの信用だけで安心していられないと言うことで、いつも大きな、もう一つのマーク、客のためのモニュメント(記念碑)を背負っているのである。
ここで言うモニュメント(記念碑)とは、個人的趣味であってはならないし、自分達の側からの記念物、先代の彫像のようなものでないことは、すでに判っていただいたと思う。客の側からの記念物としてのモニュメント(記念碑)である。その前で記念写真を取りたくなるようなモニュメント(記念碑)である。今の時間を人生のエピソードとして心にしまっておきたいと思う願望の証人としてのモニュメント(記念碑)である。そして、それは結果として、その施設企業のシンボルともなり、マーク性を持ってCIの大きな構成要素となる。