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10.二つのモニュメント(記念碑)性の意味

姿の意味性とは、モニュメント(記念碑)性と言うことになる。モニュメント(記念碑)はそれを建る側のモニュメント(記念碑)性と、それを見る、受取る側のモニュメント(記念碑)性がある。CIを考える場合、大切なことは、むしろ後の、受取側のモニュメント(記念碑)性である。その意味では、それは何でも、たとえ自然物であっても、モニュメント(記念碑)を目的として造られたものでなくとも、受取側からすれば充分に、モニュメント(記念碑)になり得る。そのもの、その姿″自体が、意味性を持っている場合もある。しかし、有名な、熱海のお宮の松は、元来、何の意味もない自然物である。それが、文学と結びついて、大衆性を持ったモニュメント(記念碑)に成長したことには、大へんな飛躍と幸運があるわけで、当時の時代的風潮、尾崎紅葉の人気、それに、ロケーションの良さ、など、多くの要素が効果的に作用した結果であろう。今では、熱海の海岸もすっかり変貌しお宮の桧″は見るも哀れなロケーションに追いやられて、見る人をして「へえーこれが……」と言わしめるに至っている。時代が変わったと言えばそれまでだが残念な気がする。何しろモニュメント(記念碑)を育てることは、そうたやすいことでは無いのだから、自然物でも美しい自然の景観は、それ自体で最高のモニュメント(記念碑)に成り得る。優れた自然の景観に対する、それを受取る人間の側のモニュメント(記念碑)性(この場合提供する側は人間ではないのであるから)とは誰もが美しいと感じる人間本来の、共通の感受性であるところに大きな意味がある。

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